冬の水鳥は足を水につけても冷たくないの?

冬の寒さは、体にこたえます。冷え性の人は、暖かい部屋にいても、足先が冷たくなります。
そんな冷え性のつらさを知ってか知らずか、水鳥は、冬のさなかの冷たい水の中に足を入れて、平気でいられるのはどういうわけでしょうか。彼らは相当に、こらえ性が強いのでしょうか。
水鳥

水鳥の足はむきだし

水鳥の身体は、羽と羽毛に包まれているので、寒さにもめげずにいられるのは分かります。寒がりの人間が、その羽毛を拝借して、ダウンジャケットにして防寒に努めているのですから。
羽毛には、油分が含まれていて、水にぬれにくいのも分かります。

しかし、水鳥といえども、あの足はむき出しのままですね。

あの足は、棒切れではない筈です。
つまり、神経が通っている。そして、血管も通っている。
だから、その足を操って、すいすいと泳ぐことができるのです。歩くこともできるのです。

水鳥の足に血管が通っているならば、その血管は外部の低温にさらされて冷たくなるはずです。
ところが、水鳥たちは、どんなに寒い冬の日も、冷たい冷たい水の中で、悠然と泳いでいます。あれは、相当無理して、我慢強いふりをしているのでしょうか?

自然の摂理が、そんなことをするわけはありません。

水鳥の身体は二重体温システム

熱さ冷たさという感覚は、ある程度は、相対的です。
つまり、右手を40度の温水につけ、左手を10度の冷水につけてしばらくしたのち、両手を20度の水に入れると、右手は冷たく感じ、左手は暖かく感じるものです。

そこで「自然の摂理」さんは、水鳥が水を冷たく感じないように、体の体温は高く保ち、足の体温は低く保つという、二重体温システムをつくりだしたのです。
これによって、水鳥たちの身体は、羽毛に包まれて暖かく感じ、一方の足の体温は低く保たれているので、水につけても冷たいと感じないようにできているのです。

水鳥の足の付け根に、ワンダーネットというヒートポンプが備わっていて、これが二重体温を維持しているのです。

ワンダーネットでは、動脈の毛細血管が網の目のように絡みあっています。
体からの暖かい血液と足からの冷えた血液が、このワンダーネットを通る際に血管を接して流れ、お互いの熱が交換されて、足に流れる血管を常に低温に保っているのです。
自然の摂理は、まことにうまくできていますね。